このブログは「適量」と「少々」と「こんな感じ」からできています。

 そんな感覚で料理を作っている僕が、ふとしたことから低温調理を始めることになりました。低温調理自体40年以上前からあるもので、飲食業界では、大手のホテルを始めかなり前から普通にされています。

 低温調理は、温度と時間をしっかりと管理して調理する調理法です。僕が普段している感覚料理とは全く違います。そんな低温調理を始める前に、低温調理の安全性とリスクをちゃんと理解しておこうと思いまして、このページに自分用にまとめておきます。

 僕は、科学者でも化学者でもないので、あくまでも書籍等で得た知識と実際に低温調理をしてみた経験から、「低温調理の安全性とリスク」について書いています。そして、随時更新していきます。



低温調理とは

 低温調理とは、食材を真空パックにし、それを100℃に達しない温度の低温で調理することです。

 動物性タンパク質は60℃を超えた辺りから固くなり始め(62℃がタンパク質凝固温度)、68℃から動物性タンパク質は水分が抜けはじめ、急速に収縮していきます。

 つまり、60℃を超えると固くなり、68℃を超えるとパサパサした食感になるということです。これを避けるために、低温で、時間をかけて食材の芯まで温度を上げて調理するのが低温調理です。

 ホテルなどで行われている低温調理は、きちんと衛生管理された調理場で、使い捨ての手袋などを使用し、業務用の真空包装機を使い、スチームコンベクションを使って低温調理をし、芯温計を使って食材の中心温度を計るなどして、徹底的に温度と時間の管理がなされています。

 僕が行っている真空調理は、家庭や小さな飲食店でもできる低温調理です。スティック型の低温調理器で鍋の中のお湯の温度を一定に保ち調理するものです。また、真空も業務用どころか真空マシンすら使わず、水の中に沈めた水圧を利用して真空に近い状態にして調理をしています。

低温調理の安全性とリスク

 そんな家庭でも気楽の楽しめるようになった低温調理ですが、低温調理では、ジューシーで柔らかい仕上がりになる反面、高温での殺菌ができません。プロの現場では、徹底した衛生管理、温度と時間の管理がされることで、食中毒の危険を遠ざけています。

 低温調理自体が危険ではありませんが、低温で調理するリスク、食中毒の危険を遠ざけるために気をつけておきたいことをきちんと理解しておきたい。

低温調理は何をどう気をつければいいの?

 僕が購入した低温調理器の説明書に「衛生管理4か条」として書かれていたのがこれです。

■清潔な道具を使う
■新鮮な食材を使う
■食材に直接触れない
■温度帯を管理する

 「清潔な道具を使う」は、まな板や包丁など低温調理する食材に触れる調理道具には特に気を使ってきれいに洗って、アルコールスプレーなどで消毒をしておきます。調理道具に限らず、清潔なキッチン、調理場というのが低温調理をする大前提になります。

 「新鮮な食材を使う」は、微生物が増えていない時間の経っていない食材を使うということです。と言っても一般消費者の場合、食材の消費期限を見て、期限内なのはもちろん、なるべく新しい物を使う。食材の状態を悪くなっていないかよく見る、と言ったことくらいになります。

 「食材に直接触れない」ホテルなど大量調理をする調理場では、薄いゴム手袋をしてアルコールスプレーで消毒して食材を扱うのが普通です。家庭でここまでする必要はないのかもしれませんが、子供のお弁当のおにぎりなども、今やラップをして握るのが当たり前で、素手で握らないことを考えると、手の微生物を食材に移さないという意味では重要です。

 「温度帯を管理する」は、食材の微生物を増やさないような温度管理をすることが大事です。低温調理をする温度や時間だけでなく、調理前の食材の扱いや調理後に冷やす場合は、すばやく冷やすなど、微生物が増えないような温度管理をするようにします。

温度管理って何を気をつければいいの?

 上の「温度帯を管理する」をもうちょっと具体的にみていきます。

 低温調理器の説明書や低温調理について解説されている本には、ほぼほぼ載っている温度と細菌の関係の図です。

低温調理と細菌の死滅温度

 細菌が増えやすい温度帯の5℃〜55℃の温度帯をなるべく早く超えることが大事になってきます。

■低温調理する食材は、外に出しっぱなしにしない(低温調理に限らずですが。)
■低温調理の鍋に入れるのは水ではなく最初から50℃くらいのお湯にする。
■低温調理後、温かいまま食べるものは、90分以内(なるべく早く)食べる
■調理後に冷ますものは、そのまま放置するのではなく、氷水などを使って、強制的に温度を下げる

 などをして5℃〜55℃の温度帯に長い時間ならないようにします。

 あれ?でも、ノロウイルスとかO-157とか、サルモネラとかの死滅温度ってかなり高いけど、低温調理だとこれらの菌は残るってこと?大丈夫なの?

 まず、そういった食中毒を引き起こす細菌やウイルスに汚染された食材を使わないことが前提ですが(と言っても目で見えない)、低温でも長い時間をかけて調理することでもそういった細菌の数を減らすことができます。

 これについては、低温調理における安全性、リスクとどう向き合うか(その1)|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|noteこちらがすごく分かりやすく参考になります。

 このページで紹介されている真空調理に詳しいダグラス・ボールドウィン(低温調理器の監修やアドバイザーをしている人)は、

食中毒を引き起こす可能性のあるさまざまな食品病原菌は他にもありますが、最も強力で危険なものを死滅させることだけに注意してください。
あなたが真空調理をする際に心配すべき食品病原菌は、サルモネラ菌、リステリア菌、大腸菌の病原性菌株の3つです。リステリア菌は死滅させるのが最も難しいのですが、食中毒をもたらすサルモネラ菌や大腸菌は少なくなります。食品の中にどれだけ多くの病原菌が存在するのか分からないため、多くの専門家は食品を調理する際にリストリア菌を少なくとも100万分の1にサルモネラ菌を1000万分の1に、大腸菌を10万分の1に減らすことを推奨しています。真空調理なら簡単にこれを行うことができます。十分に細菌が死滅するまで、食品を130°F(54.4°C)以上に保って湯せんするだけです。

と言っています。

 どんな細菌も死滅させるとなると、ジューシーで柔らかいお肉や魚は諦めて、食材の中まで高温で調理して殺菌することになります。

 お寿司は新鮮な魚介を使って作る、または魚介の扱いの知識のあるお寿司屋さんで食べる。生牡蠣やお刺身は生食用を選んで早いうちに食べる。卵は生で食べるなら賞味期限のうちに食べる。のと同じように低温調理をする時には新鮮な食材を選んで、清潔な道具で調理して、温度と時間の管理をきちんとすることで低温調理を安全に楽しむことができます。

 このページは、勉強しながら随時更新していきます。