テリーヌ型の選び方
テリーヌとは元々は、陶器でできたフタ付きの鍋のこと全般を指す言葉だったらしいです。ここでは四角い長細いものを「テリーヌ型」として紹介していますが、丸い形もの、楕円形のもの、四角いものなど、いろいろな形のテリーヌ型があります。
そして、テリーヌ型で作られた料理のことも「テリーヌ」と呼ばれています。元々はテリーヌ型で火を入れるものがテリーヌだったのですが、今ではテリーヌ型に入れればテリーヌと呼ばれますよね。
これは、他の鍋で煮込んだものをテリーヌ型に流し込んだだけのゼリー寄せですが、「テリーヌ」と呼んでも、違和感はないかと思います。 他にも「プレッセ」というテリーヌ型にギュッと詰める、プレスするという料理があります。もともとのテリーヌの意味でいえば、型で火を入れていないのでテリーヌではないのですが、これもゼリー寄せ同様テリーヌと呼ばれることも多いです。
よくテリーヌと混同されるものにパテがあります。 テリーヌを料理の辞典で調べると”パテを作るための円、または楕円、長方形のフタ付きの容器”となっています。 パテの方は”挽き肉や鮭などの魚を生地(パイ生地など)に包んで、型に入れオーブンで焼いた料理。生地に包まないものもある”と書いてあります。
「パテ」も、もともとは生地に包まれて焼かれた料理だったのですが、最後に書いてある”生地に包まないものもある”の方が今は主流なんですね。
で、結局のところ、現在ではテリーヌは料理名でもあるのですが、「テリーヌは容器、型の名前」で、「パテは料理の名前」と言えますね。
テリーヌ型を選ぶポイント
テリーヌ型のサイズ
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、テリーヌ型を選ぶ時に一番大事なのは、テリーヌ型のサイズです。
テリーヌ型にただ詰めるだけの料理なら、テリーヌ型の大きさは関係ありません。ですが、火入れをするテリーヌを作るなら、ご家庭であれ、飲食店の厨房であれ、オーブンの庫内のサイズに合わせてテリーヌ型を選ぶ必要があります。
なにはともあれオーブンの庫内のサイズを測るところから始めます。 テリーヌは湯煎で火を入れることも多いです。なので、湯煎にかけるバットにテリーヌ型を入れた状態で、オーブンにちゃんと入るかどうかをチェックしておかなければ、せっかく買ったテリーヌ型がオーブンに入らない!なんてことにもなりかねません。
艸がおうちで使っているオーブンは石窯ドームの30Lです。このレンジオーブンには、32cmのル・クルーゼのテリーヌ型を入れた湯煎用のバットが余裕を持って入ります。
以前使っていた、Sirocaのオーブントースターはサイズが小さいので、ストウブの小さいテリーヌ型やレヴォルのテリーヌ型を使っていました。
気をつけなくてはいけないのが、テリーヌ型の販売ページなどに書かれているテリーヌ型の「サイズ」は内寸(テリーヌ型の内側のサイズ)だったり、外寸と書かれていても、テリーヌ型の持ち手の部分やフタの部分が入っていなかたりすることです。
艸の持っているテリーヌ型の実物のサイズを測ったので、購入する際の参考にしてください。
テリーヌ型の価格の違いって何?
ル・クルーゼやストウブのテリーヌ型
多くのプロの料理人が愛用しているル・クルーゼやストウブのテリーヌ型は、けっこうなお値段がします。小さなサイズのものでも1万円を超え、大きいサイズの中には2万円を超えるものもあります。
なぜこんなに高いのかといいますと、ル・クルーゼやストウブのテリーヌ型は、鋳物(いもの)でホーロー加工されているからです。
鋳物とは、型に溶かした金属を流し込んで作ったもので、日本でいうと南部鉄瓶などと同じ作り方で作られています。鋳物は耐久性と保温性に非常に優れていて、素材にじっくりと均一に火を入れることができるのです。
しかし、鉄などでできた鋳物は錆びやすく、お手入れがちょっと面倒くさい。そこで表面はホーロー、つまりガラスでコーティングすることでツルツルで錆びにくいように加工されています。ガラスといってもホーロー加工は、耐久性のある材質で、直火にかけることもできます。 さらに、テリーヌは型に入れたまま長く保存することも多いですが、ホーローはニオイ移りもしにくいという特長を持っているので安心です。
ル・クルーゼやストウブのテリーヌ型は、火入れにとっても優れていて、お手入れも簡単な作り・加工がされている価格になっています。
数千円のテリーヌ型
一方、数千円で買えるテリーヌ型は、陶器でできています。 それでも数千円はするものですから、ただの「型」にしてはまあまあのお値段です。ル・クルーゼやストウブではないテリーヌ型ってどうなの?使えないの?かといいますと、そんなことはありません。
僕が仕事でル・クルーゼやストウブ以外に愛用していたのが、陶器でできたこういったタイプのテリーヌ型です。
ル・クルーゼや、ストウブの鋳物のテリーヌ型と比べるとお値段も手頃で、重さもだいぶ軽いです。陶器のテリーヌ型でも、お肉のテリーヌやホタテのテリーヌなどの火入れは、バッチリです。全く問題ありませんでした。
仕事で使っていると、テリーヌ型を冷蔵庫から出して中のテリーヌを切って、また冷蔵庫にしまってという作業が多いので、この型の軽さは本当に助かります。 陶器のテリーヌ型を軽さで選ぶのはありです。
ただ、ストウブやル・クルーゼのテリーヌ型は、大事に使えば一生モノどころか子供にも引き継げるくらいの耐久性があります。 ちょっといやらしい話をしますと、ストウブやル・クルーゼのようなブランド力のあるテリーヌ型は、ヤフオクやメルカリなどでけっこうな高値で取引されています。そうなると、ルクやストウブのテリーヌ型と陶器のテリーヌ型とでそこまでの実質的な価格差はないのかもしれません。
テリーヌ型を他のもので代用できる?
ストウブやル・クルーゼのテリーヌ型は、そのまま食卓に並べられる見た目ですし、質実剛健な作りからプロの世界でも使われているわけですが、そうは言っても、まあまあのお値段がします。
なので、試しに作ってみたいとか、今回のパーティーにだけ使いたい、という人にとっては、ストウブやル・クルーゼのテリーヌ型はもちろん、陶器のテリーヌ型でもわざわざ買うのはちょっとハードルが高いかもしれません。 テリーヌ型を何かで代用できないか?
まず、テリーヌ型で火を入れないものの場合は何でも代用できます。 ゼリー寄せとか、他の鍋で煮たものをテリーヌ型に流すものや、ただ型に詰めていってぎゅっと押して形にするもの、などはタッパーや、お菓子の缶やケーキを焼くパウンド型などにラップを敷けばそれで十分です。
火を入れるテリーヌを作る場合は、タッパーやお菓子の缶などは使えませんが、、ケーキの型はモノによってはいけます。継ぎ目のないパウンドケーキの型なら、テリーヌ型の代用ができます。
パウンド型とテリーヌ型の大きな違いは、型自体が薄いので熱が中身にダイレクトに伝わってしまうことです。 なのでこの型の外側にタオル、布巾などを巻きつけてなるべく外側全体を覆うようにして、しっかりと輪ゴムで留めます。そうすれば、ゆっくりと中身に熱が伝わるようになります。
僕が以前働いていたところにはテリーヌ型がなく、仕方なくこの方法でパテ・ド・カンパーニュを焼いていたので、実績はあります。 ただ、温度設定、時間などは、ある程度試行錯誤する必要があると思います。
ル・クルーゼのテリーヌ型
ル・クルーゼは、今でこそカラフルなお鍋が日本の家庭にも広まっていますが、そのもっと前から日本の飲食業界ではル・クルーゼのテリーヌ型がよく使われていました。テリーヌのレシピ本を見るとル・クルーゼのテリーヌ型が本当によく使われていますし、もっともプロに愛用されているテリーヌ型といっていいでしょう。
ル・クルーゼはフランスのメーカーで作られる鋳物(いもの)です。鋳物とは、鋳型(いがた)とよばれる型に金属を流して作ったもののことを言います。鋳物で作られた鍋やテリーヌ型の特長、メリットは、熱がゆっくりと伝わることです。中の食材にも熱がじんわりと伝わり、高温にならずに芯までゆっくりと火を入れ、しっとりジューシーに仕上げることができます。
そんなメリットに対して、デメリットはと言いますと、鋳物はめっちゃ重いことです。鋳物のテリーヌ型は厚みがあってほんとに重いです。その厚みと重みがじんわり熱を伝えるので、メリット・デメリットは表裏一体ですね。
ル・クルーゼのテリーヌ型のサイズ
ル・クルーゼには28cmと32cmという微妙にサイズの違うテリーヌ型があります。数字の上では4cmですが、28cmと32cmを実際に比べるとけっこう大きさが違います。 ネットで注文する時は、28cmと32cmの写真の見た感じがあまり変わらないので注意が必要です。 僕の持っているル・クルーゼのテリーヌ型32cmを採寸した数値がこれです。
外寸 長さ35.2cm(取っ手まで)×幅11.2cm×高さ11cm(フタまで)
内寸 長さ29.5cm×幅8cm×高さ6cm 内容量1.4リットル 重量3.56kg
よくネットの商品説明に書かれている内寸「長さ29.5cm×幅8cm×高さ6cm」と比べるとかなり違います。 このル・クルーゼのテリーヌ型32cmはどこが32cmなのかといいますと、持ち手を入れない外寸です。持ち手を入れた長さは35.2cmなので、その長さがのテリーヌ型が入るオーブンでないと使うことができません。
ストウブのハーフテリーヌ
ストウブは、フランスの鋳物ホーローメーカーです。ル・クルーゼと同様に鋳物の鍋が人気のブランドで、プロの料理の世界でもストウブのテリーヌ型はよく使われています。ル・クルーゼと比べると、鍋もテリーヌ型も無骨なデザインで、僕もストウブの鍋を愛用しています。
ストウブにも30cmの大きなサイズのテリーヌ型がありますが、僕が持っているのは、小さい方のテリーヌ型で、商品名としては「ハーフテリーヌ」、「長角ミニテリーヌ」、「15cm」などと表記されています。
ル・クルーゼのテリーヌ型と同じく鋳物(いもの)のテリーヌ型ですので、耐久性と保温性がよく、じっくりと均一に熱を伝えます。ストウブのテリーヌ型の表面はホーロー(ガラス)で加工されているので、錆びにも強く、ニオイ移りもしないので衛生的です。もちろん、直火にもかけられます。
ストウブのハーフテリーヌのサイズ
テリーヌ型を買う時に大事なのは、外寸です。オーブンに入るサイズか、オーブンに湯煎用のバットを入れてそのバットに入るかが大事になります。 とは言っても、ストウブのハーフテリーヌはコンパクトなサイズなので、ほとんどのオーブンや電子レンジ、オーブントースターで使うことができると思います。フタがけっこうな高さがありますが、フタの代わりにアルミホイルをすれば更にコンパクトになります。
ストウブのハーフテリーヌのサイズは15cm × 11cmと書かれていることが多いのですが、15cmは、取っ手を入れない長さです。取っ手を入れると20.2cmになります。 ストウブのテリーヌ型(ハーフテリーヌ)の実寸です。
外寸 長さ20cm(取っ手まで)×幅11cm×高さ13cm(フタまで)
内寸 長さ14cm×幅8.8cm×高さ7cm 内容量0.7リットル 重量1.77kg
REVOLレヴォル社のテリーヌ型
僕がおうちで使っているテリーヌ型のひとつが、REVOL社のテリーヌ型で19.5cmのものです。ル・クルーゼ、ストウブ同様フランスの会社で、200年以上の歴史のある磁器を作っている会社です。
サイズの割に価格はしますが、価格の安い陶器のテリーヌ型とは違い「耐熱磁器」でできているのがレヴォルのテリーヌ型です。直火での使用はできませんが、-20℃〜300℃まで使えます。
REVOLレヴォル社のテリーヌ型19.5のサイズ
レヴォル社のテリーヌ型19.5を扱っているネットショップでのサイズ表示は 19.5cm× 9.5cm × 8.5cm(高さ) 容量 600cc となっています。以下実寸です。
長さが19.5cmのテリーヌ型ですが、19.5cmは持ち手を入れない長さです。持ち手を入れると23cmになります。 レヴォル社のテリーヌ型は、コンパクトで作りもテリーヌ型としては薄めの作りになっているので、重量もなく扱いやすいです。薄い、軽いからと言って火入れの感じが悪いということもありません。 テリーヌ形の蓋も、取っ手がコンパクトなので小さな電子レンジやオーブンでも使いやすい実用性のある蓋です。
なのですが、REVOLのこのサイズのテリーヌ型は、現在、製造されていないのか、日本での取り扱いがないのか、あっても法外な価格で売られていたりするので、参考までに。。。
REVOLではありませんが、陶器のテリーヌ型はたくさん売られていますので、レビューなどを参考に選んでみてください。
テリーヌのレシピ
パテ・ド・カンパーニュ
テリーヌ型で作る定番中の定番のテリーヌです。しっとりと焼きあがったパテ・ド・カンパーニュは最高にうまいのです。
パテ・ド・カンパーニュの作り方を、ちょっとだけ簡単にしたおうちバージョンはこちらです。
鶏と蓮根のテリーヌ
慣れてくると、わりと簡単に、あまり細かい分量とかを気にしなくても作れるようになるテリーヌです。
豚足のテリーヌ
豚足、豚耳の持つゼラチン質だけでかためるテリーヌ。ちょっとした処理が大変だけど、この口どけとコリコリがたまらない一品です。
地鶏のテリーヌ
簡単で美味しい。比較的作りやすいテリーヌだと思います。このまま食べても、パンに挟んだりしても美味しい。
ふきのとうのテリーヌ
地鶏のテリーヌにフキノトウを入れ込んだもの。フキノトウの旨味がとじこめられたテリーヌ。季節物をテリーヌにすれば、パーティーもぐっと華やかに〜!
フォアグラのテリーヌ
フォアグラのテリーヌもお家で作れちゃいます。お祝いに、記念日に〜!
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