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鴨肉の選び方

鴨肉の選び方

 美味しい鶏肉はこのスーパーの〇〇鶏、牛肉ならここのコレ、魚ならココ、おっ!この豆腐美味しいなー、、、といった具合に買って食べてを繰り返していくうちに、経験的に美味しい食材の知識と情報が溜まっていって自然とそれを選ぶようになりますよね。

 飲食店の場合だと、業者さんからサンプルを貰って(または買って)食べてから決めたり、信用のおける生産者から直接買ったり(信用のおけるってのも食べて美味しかったから信用しているのですし)して、使う食材を決めます。

 なので、「鴨肉の選び方」ってゆータイトルにしちゃいましたけど、最終的には食べてみないと分からないんですが、それにしても鴨肉って、鶏とか牛とか、豚、魚や野菜みたいに日頃から使っている食材と比べると、何をどう選んで良いのか、、、という方もいらっしゃるんじゃないかと思いまして。

 鴨肉をインターネットで選ぼうとすると「フィレドカナール シャランデ エトフェ」とか書いてあったりして、書いてある意味がさっぱり分からん。という人向けに鴨肉についてまとめてみました。

 鴨肉を選ぶときの参考に少しでもなれば幸いです。

 最後のまとめで艸のおすすめの鴨肉も載せているので合わせて参考にしてみてください。

鴨・アヒル・合鴨の違い

鴨肉の選び方画像

 鴨・アヒル・合鴨は、英語にするとみんなduckダックです。

 日本語では、「鴨」というのは、野生の鴨のことを指します。その野生の真鴨をとっ捕まえてきて、飼いならしたのがアヒルです。アヒルを漢字にすると「家鴨」です。

 えっ!でも真鴨は茶色くて、アヒルは白いじゃん!(白くないアヒルもいますが)と思われる人もいると思いますが、「自然界では、白は目立って外敵に襲われやすく危険ですが、長く家禽(かきん)として飼われているうちに、目立つほうが保護されやすかったり、餌をもらいやすかったりといったこともあって白い個体が増えた」といったこともあるようで、長い時間をかけて変化していったのでしょうね。それと同時に、体も大きくなり、羽も小さくなっていった(鴨は渡り鳥ですが、アヒルは家禽なのでちょっとしか飛べません)ようです。

 そんなわけで、生物学的には鴨もアヒルも一緒なのですが、日本語的には、「野生なのが鴨」で、「家禽なのがアヒル」と呼ばれています。

 そんで、その「野生の鴨」と「家禽のアヒル」をかけ合わせたのが「合鴨(あいがも)」と呼ばれるものです。合鴨という種類の鴨がいるわけではありませぬ。生物学的には、同じ鴨と鴨を合わせたのが合鴨(もちろん合鴨も生物学的には鴨です)という、とっても不思議な分類になっているのですが、「お肉」としては結構違います

 野生の鴨は、野生ですから猟師さんが獲ったもので、フランスではジビエと呼ばれます。野生の鴨は、「野性味もあって絶品」と評価される一方で自然界で育った環境によって、一羽一羽の個体差によっても大きく食味は変わると言われています。

 一方、家禽となった鴨のほうが環境や餌が一定なので、安定した食味で、肉質も柔らかく、野生の鴨より美味しいという猟師さんも多くいます。そこに野生の旨味をかけ合わせたのが合鴨ということになります。

 そんなわけで、流通している「鴨」と呼ばれているお肉の多くが、日本語的には「アヒル」もしくは「合鴨」です。

 そんなちょっと複雑な「鴨」「アヒル」「合鴨」事情を最初におさえつつ、品種や、言葉の説明をしていきます。

鴨肉を選ぶときに抑えておきたい言葉

 上の説明からすると、世の中に流通しているもののほとんどが「アヒル」か「合鴨」ということになるのですが、書き分けるとややこしくなるので、それらは一旦頭の片隅に置いておいて、まとめて「鴨」とすることにします。

カナール(canard)

 カナールはフランス語で鴨のことです。単にカナールという場合は、日本語で言うところの「アヒル」家禽の鴨という意味で使われる事が多いようです。野生の鴨は、カナールソバージュ(camard sauvage)と呼ばれます。
 要するにカナールは「鴨」のことなんだなで問題ありません。そんで、カナールには雄(オス)の鴨という意味もあるようです。

カネット(canette)

 カネットは生後2ヶ月以内の雌の鴨のことです。が、カネット=メスの鴨と表記しているお肉屋さんも多いです。カネットと書かれている鴨肉は、メスなのでサイズが小さくて、柔らかいとされています。

カンヌ(cane)

 カンヌは生後2ヶ月以上雌(メス)の鴨のことを指すフランス語ですが、鴨肉の名前としてはあまり使われていないようで、Amazonでも楽天でも出てきませんでした。

フィレ(filet)

 フィレとかロースと書かれていることが多いですが、胸肉のことです。フィレ・ド・カナールで鴨の胸肉という意味になります。一般的に鴨肉と言って思い浮かべる部位です。

鴨胸肉の下処理8

キュイス(cuisse)

 キュイスはもも肉のことです。キュイス・ド・カナールと書いてあれば、鴨のもも肉のことです。コンフィにして食べたりするのが一般的です。が、物と焼き方によっては焼くだけでも美味しく食べることができます。

低温調理鴨もも肉のコンフィ9

マグレ(magre)

鴨胸肉の下処理3

 マグレ・ド・カナールと書かれていたら、フォアグラを取った鴨の胸肉のことを指します。マグレは鴨の品種ではありませんが、フォアグラを取る鴨の9割はミュラー種(後述)です。
 フォアグラを取るために、鴨に強制的に餌を食べさせるのと、肥育期間が長いためにお肉も大きく、やや噛みごたえがあり、脂がのっていてお肉の旨味もしっかりとしているのが特徴です。

エトフェ(étouffé)

エトフェは「窒息させた」というフランス語です。窒息させる方法で屠殺することで鴨の血液が肉の中にとどまるので、身が赤く、より風味が高まり、柔らかい身質になるのが特徴です。

鴨の種類の言葉

 ここからは鴨の種類、品種についてです。鴨の種類によってお肉の特徴も変わってきます。

バルバリー種(barbarie)

低温調理でバルバリー種の鴨のロースト1

 フランスで生産されている鴨の9割がこのバルバリー種でフランスでは最も一般的な鴨です。大型の鴨で、クセが少なく淡白で食べやすいとされていて、初めて鴨を食べる人は、まずはこのバルバリー種から選ぶのもおすすめです。

ミュラー種(mulard)

 ミュラー種とかミュラール種と呼ばれるこの種は、フォアグラを取る鴨として使われることが多い(約9割)品種です。なので、ミュラー種またはミュラール種と書かれていなくても、マグレ・ド・カナール(フォアグラを取った鴨の胸肉)と表示されていたらこの品種である可能性が高いです。
 そんで、「マグレ」の所でも書きましたが、フォアグラを取るために肥大させた鴨の胸肉は、サイズも大き目で、噛みごたえがあって、脂ものっていてお肉の旨味もしっかりとしています。

シャラン鴨(Challans)

シャラン鴨の胸肉ともも肉

 シャラン鴨はフランスを代表する高級な鴨です。シャランはフランスの地名で、シャランで育てられた鴨という意味だけの場合と、飼育場所から飼育方法、屠殺方法(エトフェ)まで厳密な基準をクリアしたブランドとしての「シャラン鴨」という意味の場合があります。もちろん、高級なシャラン鴨は、後者の方です。

 ブランドとしての「シャラン鴨」は、その屠殺方法(窒息)から、肉の味わいが深くなることに注目が集まりがちですが、工業的で効率重視の生産方法とは違って、伝統的な放し飼いによる飼育法、手作りの餌など手間ひまかけて育てられています。

 そして、そのシャラン鴨ブランドを確立したのがビュルゴー家で、ビュルゴーのシャラン鴨は世界的にも高い評価を受けています。

 「シャラン」は、土地名またはブランドとしての名称で、鴨の品種ではない、、、と思う。

 シャラン鴨についてはこのブログで詳しく書かれています。
https://otium.blog.fc2.com/blog-entry-2317.html

チェリバレー種(cherry valley)

 チェリバレー種は、ペキン種(後述)をイギリスのチェリバレー社で品種改良されたもので、日本で流通している合鴨肉の多くはこの品種です。鴨鍋やお蕎麦屋さんの鴨南蛮に使われていたり、スーパーなどでたまに見かける鴨肉はこのチェリバレー種のことが多いです。
 チェリバレー種は、柔らかくてクセがなく、繊細な味わいで甘みが強いのが特徴と言われています。

 日本人にとっては一番馴染みの深い鴨肉だと思います。

ペキン種(pekin)

 ご想像の通り、北京ダックに使われる品種です。北京ダック用に肥育されるものは脂肪と皮の厚みがあるのが特徴です。

マレ(Marais)

 フランスのヴァンテ県のマレ(フランス語で沼地)で手間ひまをかけて飼育されていたスーラン鴨が、その飼育の大変さと歩留まりの悪さ(取れる肉の量が少ない)から激減してしまったのを交配によって復活させたのが、カナール・ド・マレです。

クロワゼ(Croise)

 クロワゼ鴨は、真鴨(コルベール)のメスと卵を採るため用のアヒル(カーキーキャンベルという品種)のオスとの交配でフランスで生み出された新しい品種です。小型の鴨で、野生の鴨特有の旨味とコガモの柔らかい肉質、脂が少ない赤身が人気です。

鴨肉の産地

鴨肉の選び方
 艸は洋食の料理人なので、鴨肉=フランス、もしくはハンガリー産と思いがちでしたが、和食にも鴨鍋や鴨南蛮、治部煮など鴨を使った料理があり、鴨の飼育も日本各地でされていて、現在でもされています

 日本で飼育されている鴨の多くは、チェリバレー種ですが、チェリバレー種は、国産のもの以外にも中国、タイ、マレーシア、ハンガリー、ブラジル産のものも販売されています。

 チェリバリー種以外にも、フランス鴨と呼ばれるバルバリー種の飼育も最近では日本でもされていて、肉質の良いブランド鴨として売られています。

 和食では、鴨肉をスライスして料理に使うことが多いので、スライスされた商品もたくさん出回っています。

 それに対して洋食では、丸のままローストして食べることが多いです。なのでフランス産のバルバリー種、フォアグラを取った鴨の胸肉のマグレ、シャラン鴨などは丸のまま真空パックされて冷凍されている商品が多いです。空輸されたフレッシュ(生)の物もそれほど多くはありませんが、ネットで買うことができます。

 また、ハンガリーも鴨やフォアグラの生産が盛んで、多くの品種の鴨肉が輸入されています。ハンガリーの鴨肉はフランス産と比べて全体的にややお値段が安いです。

鴨肉の選び方まとめ

 とここまで、鴨肉周りの用語とか、鴨の品種についてまとめてきましたが、最初にも書いたとおり、鴨肉に限らずですが最終的には食べてみないと分かりません。

 鴨肉は、他のお肉と同様に、価格の安いものからまあまあのお値段のするものまで、たくさんの種類、産地などがあります。そして、他のお肉とこれまた同様に、値段が高いからと言って、必ずしも美味しい(自分の好み)というわけでもありませんし、調理の仕方によっても大きくその美味しさも左右されます。

 それでも、鴨肉を選ぶときの参考にちょっとでもなれば幸いです。

 フレッシュ(生)の鴨肉は、予約制なことが多く、届くまでにちょっと時間がかかるのと、届いたら当たり前ですが、それほど長くは持たないので、ある程度の期間内に料理をしなくてはいけません。なので、鴨肉を買う時には、お店をやっている頃から、自分の都合で料理できるように冷凍の鴨肉を買うことが多いです。

 あまり鴨肉を食べ慣れていない人はバルバリー種から選ぶのがいいでしょうし、しっかりとした味わいを求めるならマグレ・ド・カナールの中から選ぶのがおすすめです。

 僕の個人的なおすすめは、鴨胸肉、鴨もも肉共にシャラン鴨です。”ビュルゴー”の名前がつくと高くなっちゃうのですが、そうではないシャランで伝統的な飼育方法で育てられたシャラン鴨で、僕は”Claude COUTHOUIS”と書かれているパッケージのものを使っています。”Claude COUTHOUIS”でも他の種類の鴨もあるのでパッケージはあくまでも一つの目印としてください。

 他にも美味しい鴨があるのかもしれませんが、長年愛用していて、ここ最近いろいろな鴨をネットで取り寄せてみて改めて、この鴨は美味しい!とゆー結論になりました。

フランス産、鴨胸肉 シャラン鴨

低温調理 シャラン鴨の胸肉

 「柔らかくて、ジューシーで鴨らしさもありつつ、けれどもそれほど強くない」のが、特徴です.
低温調理なら火入れを失敗することもありません。

シャンラン産のシャラン鴨の骨付きもも肉

低温調理鴨もも肉のコンフィ1

 シャラン鴨の骨付きモモ肉です。ビュルゴー家のものでなくてもシャラン鴨を名乗れる鴨さんは美味しかったです。低温調理でコンフィとかソテーとかにぜひ。

鴨肉の調理の仕方

 美味しい鴨肉を選んだら、鴨肉の調理はこのあたりを参考にしてみてください。

・低温調理で鴨胸肉を調理する

・【低温調理】鴨もも肉のコンフィ 65℃と78℃で食べ比べてみた

・鴨のコンフィ

・鴨もも肉のソテー・フライパンでの焼き方