市販のフォンドボー冷凍・缶詰・パウチを比較してみた
フォンドボー(仔牛から取ったダシ)って自分で作るのはなかなか大変です。
艸がホテルにいた頃はもちろん作っていたし、自分でお店をやっていたときも作っていました。大変でも作るのは、やっぱりちゃんと作ったフォンドボーは美味しいからです。
当サイト「艸の作り方」でもちょいちょいフォンドボーを使ったレシピが登場するのですが、ご家庭でフォンドボーから作るのはちょっと厳しい。
というわけで、市販のフォンドボーをあれこれ比べてみました。
フォンドボーは、そのものを食べて美味しいものではありません。ソースに仕上げて、お肉などと一緒に食べて初めて本気を出すものなので、それぞれのフォンドボーを使ってシンプルなマデラソースを作って、焼いた豚ロースと一緒に食べてみました。分量、作り方は、マデラソースの作り方に書いた通りに作りました。
今回、比較するフォンドボーはこちら。
キスコ 冷凍フォンドボー HCQ 1kg
ハインツ フォンドボー 820g
ハインツ フォンドボー シェフソシエ 290g
オーネ フォンドボー 30g×3
キスコ 冷凍フォンドボー HCQ 1kg
キスコの冷凍フォンドボーHCQ。いくつか種類があるキスコの冷凍フォンドボーの中で、仔牛の骨だけを使って作られたのがHotel Class Quality(ホテル クラス クオリティ)のフォンドボーです。
キスコがちゃんと作っているフォンドボーを冷凍したものなので、自然な甘みがあって、僕がよく知っているフォンドボーの味そのもの。仔牛の旨味だけで出来ています。
ドイツワインバーで働いていた時は、これを使っていました。
ネックなのは、ちょっと値段が高いこと。とは言っても自分で仔牛の骨からフォンドボーを作る手間暇と技術を考えたら、妥当な値段かと。小分けして冷凍しておけば、ちょっとづつ使えるので、ご家庭や小さな飲食店でも本格的なフォンドボーを使うことができます。
品質、美味しさで選ぶなら、間違いなくこのキスコの冷凍フォンドボーHCQです。
解凍してからちょっと冷蔵庫に入れておくと、ブルブルに固まります。今回、比較した中でもっとも濃いのでしっかりと固まりました。
キスコのフォンドボーHCQで作ったマデラソース
キスコのフォンドボーHCQで作ったマデラソースは、甘みがしっかりしていて、THEフランス料理のソースって感じの味に仕上がりました。
エシャロットとマデラ酒の旨味甘みをフォンドボーがしっかりと受け止めて、馴染んでいます。
元々の濃度がしっかりあるので、ソースにしてもお肉にしっかりと絡み、文句なしに美味しい!
ハインツ フォンドボー 820g
ハインツの業務用の缶詰フォンドボー。ビーフブイヨンをベースに作られているフォンドボーではありますが、あっさりとしていて不自然な味のしないフォンドボーです。
缶にも書かれているように「うま味調味料無添加」がその味を生み出しているのだと思います。
また、ハインツの小さい家庭用の缶詰と比べて量が多い分、割安です。ストックは冷凍庫の場所を取らず、いつでも使えるところも缶詰のフォンドボーのいいところです。
ハインツの業務用フォンドボーは、ややにごっている薄茶色をしています。
常温では少しだけとろみが付いているくらいの濃度です。
冷蔵するとぷるぷるとした柔らかいゼリー状になります。
ハインツの業務用フォンドボーで作ったマデラソース
ハインツの業務用フォンドボーで作ったマデラソースは、濃度、甘みこそ、キスコには劣るものの、あっさりとした中に旨味があって、自然な美味しさです。
僕はキスコで作ったTHEフレンチな味が好きだけど、こっちのほうが好きという人もいると思う。
ハインツ フォンドボー シェフソシエ 290g
ハインツの フォンドボー シェフソシエは家庭用の缶詰フォンドボーです。業務用と家庭用のハインツの缶詰の違いは量だけではありません。
フォンドボー シェフソシエは日本の工場で作られていて、(業務用はニュージーランドの工場)業務用との大きな違いはトマトエキスが入っているところだと思います。
トマトエキスが入っているので、味がちょっとハヤシライスっぽい感じがします。決してまずくはありませんが、フォンドボーそのものからはやや離れます。
スーパーなどでもたまに見かけますし、もっとも手に入れやすく、量も大過ぎない使いやすさは◎。
ハインツのフォンドボー シェフソシエは、透明感のあるクリアな茶色です。
常温では、わりとしっかりとしたとろみが付いています。
冷蔵するとしっかりと固まったゼリー状になります。
ハインツのフォンドボーシェフソシエで作ったマデラソース
ハインツのフォンドボーシェフソシエで作ったマデラソースは、食べた瞬間は、ハインツの家庭用と業務用の違いがよくわかリませんでした。フォンドボー自体を舐めた時は、かなり違ったんだけど、ソースにすると、大きな違いはなくなっていました。
ただ、後味にちょっと不自然な味を感じる。でも、ソースとしては全然、ダメじゃない。これもアリ。
オーネ フォンドボー 30g×3
オーネのフォンドボーは30gずつレトルトパウチになっているフォンドボーです。
小分けされたパウチは使いやすく、お値段もお手頃価格です。味的には、自然な味ではない調合して作られたフォンドボーといった味がします。そのもの自体を口にすると、あまりいい味がしませんが、ソースにしてみると、意外にこれもアリかなという味に仕上がりました。
オーネのフォンドボーは、うっすら濁りのある濃い茶色です。完全に液体で、冷蔵してもとろみは付きません。
オーネのフォンドボーで作ったマデラソース
オーネのフォンドボーで作ったマデラソースは、正直、作る前はソースにはちょっと厳しいんじゃないかと思っていました。が、意外や意外、けっこうちゃんとしたソースになって美味しく豚肉が食べられました。
エシャロットとマデラ酒を使ってしっかり仕上げれば、それなりになるんだなーと。ただ、自然な味ではない。
エシャロットとマデラ酒の旨味と、、、スナック菓子のバーベキュー味?みたいな味。他のと比べると、やっぱりちょっと劣るけど、これだけ食べれば十分食べられると思う。
市販のフォンドボーを小分けする
市販のフォンドボーをいっぺんに使い切れないときは、小分けして冷凍保存しておきます。
キスコのフォンドボーHCQとハインツのフォンドボー シェフソシエは冷蔵でしっかり固まるので、バットやタッパーに流して冷蔵庫で固めたものをそのまま使うグラムで小分けして冷凍します。
グラムで小分けしておくと使うときに楽なのです。
入れ物にラップを敷いておいてから流すと後で取り出し易いです。
ハインツの業務用のフォンドボーは、固まりはするものの柔らかいので、そのまま直で製氷皿に流して冷凍します。もちろん、キスコやシェフソシエのフォンドボーもこの方法でもOKです。
100円ショップで製氷皿買ってきました^_^
ふつうの氷のようにひねるだけで簡単には外れませんが、製氷皿の裏を流水すれば外れます。
市販のフォンドボー比較まとめ
今回、市販のフォンドボーを色々試してみて、どれが美味しいかという結果は、予想通りの価格順(このページに並んでいる順)でした。
キスコの冷凍フォンドボーHCQは、ほんとに良くできたフォンドボーで、他のものと比べると格段に美味しいです。ですが、ハインツの缶詰のフォンドボーも、オーネのパウチのフォンドボーも、もっと使い方を工夫すれば色々使い所はあるなーと感じました。
逆に言えば、ソースとしてフォンドボーそのものを活かすことに使うのでは無く、味の補強という使い方(赤ワイン煮込みとかハヤシライス、カレーとか)をするなら缶詰でも充分だと思います。
今回使った市販のフォンドボーはすべてネットで買いました。近所のスーパーを何軒も回ったけれど、どこにも置いてなかったんです、田舎なもんで。デミグラスの缶詰はどこ行ってもあったなー、デミグラスと特選デミグラスって2種類置いてあるところもあった。。。
僕はほとんどデミ使わないので、なんで???とゆー気持ちでいっぱいです^_^
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして。
記事を拝見させて頂きました。
市販の良いフォンドボーは無いかなと思っていたところ、この記事を見つけてキスコのフォンドボーを購入してみようと思いました。
この記事で紹介している小分けの方法なんですが、冷凍されているものを一度解凍してから再冷凍しているということでしょうか?
ソースは再冷凍しても品質は落ちないんでしょうか?
大変お手数ですが、お教え頂けると幸いです。
よろしくお願い致します。
かおりさん、こんにちは。はじめまして。
艸のフォンドボーの比較記事をご覧いただきありがとうございます。
>この記事で紹介している小分けの方法なんですが、冷凍されているものを一度解凍してから再冷凍しているということでしょうか?
>ソースは再冷凍しても品質は落ちないんでしょうか?
結論から申しますと、大丈夫かと思います。僕自身はあまり劣化を感じません。
お肉や魚であれば再冷凍は、細胞構造が壊れてしまい、離水するなど大きく劣化することが考えられますが、フォンドボーに関しては、そこまでではないかと思います。
もちろん、フォンドボーの香りなど厳密に言えば品質が全く劣化しないかというと、おそらくはあるかと思います。
が、日常使いの範囲であれば僕は問題ないと思っています。
ご参考になれば幸いです。
コメントありがとうございます。
お返事ありがとうございます。
安心しました。
キスコのフォンドボーを購入してみようと思います。
購入した際にはまたこちらで紹介されてるレシピを参考にてみたいと思います。
ありがとうございました。
かおりさん
良かったです(^o^)
是非いろいろ試してみてください〜
souさん はじめまして!souさんのファンです。
フォンドボーを使った事が無いのですが、こちらの記事を見て、キスコのフォンドボーを購入してみたくなりました。
ビーフストロガノフに挑戦してみたいのですが フォンドボー〇〇ccは 単純にそのまま量れば良いのでしょうか?
それとも 濃さをみて 水と調節するものなのでしょうか?
キスコは濃厚と書いてありましたので…
きっとレシピによると思うのですが…
あと 機会がありましたら ビーフストロガノフのレシピをのせて頂けたら嬉しいです。
初歩的な質問で申し訳ありませんが 教えて頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
みゆきさん、こんにちは。はじめまして。
すいません。このコメントは僕が承認しないと表示されないようになっています。お手数をおかけしてしまい申し訳ないです。
さて、
>ビーフストロガノフに挑戦してみたいのですが フォンドボー〇〇ccは 単純にそのまま量れば良いのでしょうか?
>それとも 濃さをみて 水と調節するものなのでしょうか?
とのご質問ですが、これは「醤油大さじ1」ってどの醤油?みたいな話(僕は九州生まれで甘い九州の醤油を普段使っているので)で、使うフォンドボーによっても、もちろんレシピによっても、その人の好みによっても変わってくるものだと、僕は思っています。
キスコのフォンドボーは「濃厚」なのですが、どちらかといいますと、その他のフォンドボーが薄いというのが正しいかもしれません。キスコのフォンドボーはそのままで丁度いい、缶詰などのフォンドボーは半分くらいまで煮詰める、とキスコくらいの濃度になるのではないでしょうか。
といった感じにご理解いただければと思います。
ビーフストロガノフもむかーし作っていて、書こう書こうと思ってはいるのですが、、、、気長にお待ち下さい〜ヽ(^。^)ノ
コメントありがとうございました。
はじめまして。10年来のファンです。souシェフの合理的なレシピで学んだことは計り知れません。フォンドヴォーの作り方も興味深く拝見しました。東京だと少し大きなスーパーには必ずフォンドヴォーを売っているのに、仔牛肉を扱っているお店が殆どないのは不思議です。ところで私はオーネのを使っています。小袋なので、素人にはシチューのちょい足しなどに使いやすいのです。最近、仔牛肉料理の研究をしているので、フォンのランクアップの機会かも知れませんね。
ふじ子さん、こんにちは。はじめまして〜!
艸のブログを長きに渡ってご覧いただきありがとうございますm(_ _)m
仔牛肉って一般のスーパーではあんまり見かけませんよねー。
輸入品の仔牛肉はけっこうなお値段がしますし、日本の牛さんは大きく育てたほうがお金になるからですかねー(´ε`;)ウーン…
仔牛肉料理の研究をされているのですねー!楽しそー!
ぜひオーネ以外のフォンドボーも使ってみてください〜♪
コメントありがとうございます。
艸シェフ、ご丁寧なお返事ありがとうございました。
素人にとっての解決方法を見つけました!
私は、某デパートに入っている国産仔牛の専門店で肉を買います。
「ヒレ肉15センチお願いします」と伝えると、筋をきれいに取ったものを渡してくれます。
ひょっとして?と思い、勇気を出して言ってみました。
「捌く時にできた筋肉、頂けないかしら?」
快く頂いた筋肉に見合う量の香味野菜と煮込んでみました。
シェフのように2日間煮込むという訳には行きませんが、出来上がったフォンは、一番だしのよう。強い主張はないけれど、フランス料理でなぜ重宝されているのか分かる気がしました。
輸入の仔牛も試してみたいと思います。
ご助言ありがとうございました。
ふじ子さん、こんにちは。
おおお、仔牛専門店なんてお店があるのですねー!知りませんでした。ググりました。
そして、見つけました!都会に行った際にはぜひ覗いてみたいです^_^
そして仔牛の筋でフォンを取られたのですね。
筋だけで煮込んだことがありませんが、スッキリとした感じになりそうですね。
美味しい仔牛料理が食べたくなりました〜!コメントありがとうございます!