低温調理で鴨胸肉を調理する
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鴨胸肉の低温調理の記録です。
鴨胸肉をお家でロゼ色に焼く、ローストするというのは、ちょっと敷居が高いといいますか、あんまり機会もないのでなかなか手を出しにくいということもあるかと思います。
そんで、ちょっといい鴨胸肉になると1枚で2000円前後のお値段がしますし、なかなかそのへんのスーパーでは上等な鴨胸肉って売っていなくて、ネットで買うと冷凍(もしくは冷蔵)の送料もかかっちゃいます。
そんな鴨胸肉ですが、低温調理器を使えば大きな失敗をすること無く上手に火を入れることができるんじゃないかと。
とゆーわけで、鴨胸肉を低温調理でこの温度でこのくらい火を入れるとこんな感じになるよ。という記録を公開しています。
鴨胸肉の低温調理の参考になれば幸いです。
低温調理を始める前に低温調理を始める前に安全性とリスクを理解しておくも参考にしてみてください。
この鴨胸肉の低温調理には、BONIQ(ボニーク)を使っています。そんで艸の別ブログに低温調理器BONIQ(ボニーク)を使った感想と口コミ、本当に使えるのかを検証したよ!も書いているので、”低温調理器ってどうなの?”という人はのぞいてみてくださいね。
BONIQの低温調理 加熱時間基準表
低温調理器で鴨胸肉を調理する工程
多くの低温調理でお肉に火を入れる場合、”お肉を低温調理にかけたその後に表面に焼き色をつける”という順番が多いのですが、鴨胸肉は、わりと”お肉に焼き色を先に付けてから低温調理する”という工程でやっている人が多いようです。
どちらも試したのですが、個人的には、食べる直前にパリッと焼いたほうが香ばしいし、食べるときの温度も高いのでいいのかなーと。というわけで、先に低温調理をした後に脂をパリッと焼くという工程で鴨胸肉を調理するのを紹介します。
鴨胸肉を鴨胸肉の下処理を参考に下処理をします。
下処理した鴨胸肉の重さを量ります。
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鴨胸肉の重さの1%の塩を量ります。鴨胸肉を何もつけずに食べるのならもうちょっと塩を増やしてもいいと思いますが、後から塩コショウを振って食べる、更にソースをかけるとかするなら、1%でいいと思います(もちろん好みもありますけどね)。
ちなみに僕が使っているお塩はゲランドの塩という天然塩です。伯方の塩とか赤穂の塩といった再生自然塩と比べるとやや塩気が柔らかいです。
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鴨胸肉の脂側からは塩はほとんど入らないので、量った1%の塩のうちちょっとだけ脂側に振ったら、
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残りはお肉側に全部振ります。黒胡椒はお肉の側だけにします。
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フリーザーバッグに塩胡椒をした鴨胸肉を入れて、深めの入れ物にためた水の中に沈めながら真空に近い状態にします。
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設定した温度・時間で低温調理をします。
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低温調理が終わった状態の鴨胸肉です。
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フリーザーバッグから出して、キッチンペーパーで周りの水分をしっかりと取ります。
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水気を拭いたら、火を着けていないフライパンに鴨胸肉の脂面を下にして入れてから火を着けます。
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中火くらいで火を着けます。
ちょっとすると、脂が溶け出してプチプチと脂がはぜる音がしてくるので、脂の多い鴨胸肉(マグレ鴨とか)の時には、弱火に落としてちょっと長めに、そうでもない鴨の時にはそのまま中火で短めに、脂を焼きます。
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弱火に落としたときは3分。中火のままのときは1分30秒を目安に、あたらず触らず放置します。
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脂面をしっかり焼いたらたら、中火で鴨胸肉を返してお肉側の面もさっと焼きます。
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お肉の周り全体を焼きたいので、側面もジュっと数秒焼きます。ここで手間取ってしまうと中まで火が入ってしまうので、トングなどを使ってお肉の面はササッと焼くようにします。
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キッチンペーパーに取って余計な脂を拭き取って、
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余熱が回らないうちに切って器に盛り付けます。
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完成!
低温調理で鴨胸肉を調理する 55℃で1時間30分
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まずは、鴨の脂を先に焼くのと、後に焼くのとではどんな違いが出るかを実験。低温調理の温度と時間は、どちらも55℃で1時間半にしました。
使った鴨はフランス鴨とも呼ばれる、クセのない食べやすいバルバリー種です。
鴨胸肉に先に焼き色を付けて低温調理をする
《材料》 フランス産 バルバリー種(下処理前400g) 厚さ3cm(下処理後) 塩(ゲランドの塩)1% 黒胡椒 適量
《低温調理》 55℃ 1時間30分
先に焼き色を付けるので、1%の塩をしてから30分ほど冷蔵庫で塩をなじませ、出た水分を拭き取ってから焼き色を付けました。
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脂が多くないバルバリー種なので、中火でパチパチなってから1分30秒脂面を焼いてから、お肉の面もサッと。
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焼き色を付けたら、すぐに冷凍庫に入れ、余熱で火が入らないようにしました。10分間。
そこから、55℃で1時間30分の低温調理。
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低温調理後に、余計な水分、脂を拭き取ってから切った断面。
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じゃがいものピュレを添えて、赤ワインソースをピャーッとかけて。
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しっかりと冷蔵庫で冷ましてからの、コールドカナール?
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【メモ】
55℃という結構低めの温度にもかかわらず、切った断面は、最初のうちは「あれ?火が入りすぎちゃった?」というくらいのグレーな感じに見えた。けど落ち着いてきたら、そのグレーにピンクが指してきた。
鴨肉の肉質のせいなのか、55℃という低温調理の温度のせいなのか分からないけれど、5mmくらいにスライスすると、ちょっと噛み切るのに苦労するくらいの硬さ。特に筋の部分は、なかなか噛み切れない。3mmくらいにカットすると食べやすかった。冷蔵物(冷凍していない)だからか、水分が多く、ジューシーで柔らかい。
先に焼くとバリッと焼いた脂面の感じがもっとなくなってプニョプニョな感じかと思いきや、意外と焼いた感は残っていました。もちろんバリッとはしていませんが。バリッと感よりも、55℃の低温調理後のそのまま食べる温度のほうが気になった。ビシッと表面が焼かれたあったかさと、直前に肉を焼いた香りが無い。
バルバリー種は、鴨臭さが少なく、そういうのが苦手な嫁は食べやすいと言っていた。僕的には、柔らかくてジューシー、旨味もそこそこあるけれどちょっと物足りない?感じ。低温調理の温度と時間がどうこうというよりは鴨の種類とか状態の話かもしれませんが。
鴨胸肉を低温調理してから焼き色をつける
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《材料》 フランス産 バルバリー種(下処理前403g) 厚さ3cm(下処理後) 塩(ゲランドの塩)1% 黒胡椒 適量
《低温調理》 55℃ 1時間30分
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低温調理が終わってから、中火で脂がはぜるようになってから1分30秒ビシッと脂面を焼き、お肉面もサッと焼いた状態。
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カットした断面。
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【メモ】
やっぱり、「後焼き」の方が温度的にも、香ばしさもいいと思う。あまり先焼きの”美味しさ的なメリット”はないように感じた。
こちらも先焼きのものと同様、厚く切ると噛み切れない。後述のマグレ鴨の方は57℃という温度で鴨の種類も違うので、そのまま比較ではきないけれど、5mmくらいで切っても柔らかくて美味しかった。
低温調理で鴨胸肉を調理する 57℃で1間30分
鴨胸肉の低温調理について調べたところ、55℃〜58℃で火を入れている人が多かったです。温度はの差は4℃なのですが、低温調理にかける時間が50分から3時間くらいまでと幅が広かったので、今回は、57℃で1時間半と3時間15分という2つの時間で火を入れました。
更に57℃で1時間30分の低温調理の方は、マグレカナール(フォアグラを取った鴨の胸肉)とシャラン鴨(シャランで育てられたブランド鴨)の2種類を行ないました。
マグレカナールを低温調理 57℃で1間30分
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《材料》 スペイン産 マグレカナール(下処理前410g) 厚さ3cm(下処理後) 塩(ゲランドの塩)1% 黒胡椒 適量
《低温調理》 57℃ 1時間30分
低温調理後の鴨胸肉とお肉から出た肉汁の量など。
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出来上がり直後の断面。
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ちょっと厚めに切った鴨胸肉のロースト。
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薄めに切って、赤ワインとハチミツを煮詰めただけのソースを添えて。
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【メモ】
低温調理後に弱火で3分と工程には書いているけど、もうちょっとしっかり焼き色をと欲張ってプラス1分やったら、脂面の方からちょっと火が入ってしまった。
ミディアムといった火の入り。ミディアムレアっぽくするならもうちょっと温度を下げたほうがいいかも。
しっかりとした鴨らしい肉質だけれども、厚め切ったものでも歯で噛み切れるくらいの柔らかさ。薄く切った(3mmくらい)ほうが食べやすいは食べやすい。けれど肉々しさを感じるなら5mmくらいに切るのが丁度いいかも。
マグレカナールらしく、鴨らしいクセもあり、レバーっぽい味もして肉自体は美味しい。けれど、ジューシーさがちょっと足りないかな。これは、低温調理の方法が問題なのか、鴨胸肉の質の問題なのかは分からないけど。
シャラン鴨を低温調理 57℃で1間30分
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《材料》 フランス産 シャラン鴨(下処理前288g) 厚さ2.5cm(下処理後) 塩(ゲランドの塩)1% 黒胡椒 適量
《低温調理》 57℃ 1時間30分
低温調理したシャラン鴨。
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皮目の焼きは、中火でパチパチしてきてから弱火で3分にしたけれど、いまいちしっかり焼ききれていなかったので、ちょっと延長しました。
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【メモ】
最後の焼きは、あんまり弱火にしすぎると3分でも焼き色がつかない事があるので、そのへんは調整する必要があるかも。
低温調理の特徴ではないけれど、やっぱりシャラン鴨は柔らかくて味もあって、ジューシーで美味しい。せっかく低温調理をするなら、この鴨を選ぶのがいい。
5mmくらいのカットでも柔らかい。が、嫁は3mmくらいのカットの方が好みだそう。
低温調理で鴨胸肉を調理する 57℃で3間15分
こちらは、BONIQの公式レシピサイトでレシピの安全上の時間設定として参考にしていたSous Vide料理の実践ガイドに書かれていた肉の厚さと温度と時間の表から、”3cmの厚さで57℃の場合は3時間15分”という時間設定をしました。
リンク先にある表は家禽と書いていますが、鶏または七面鳥の胸肉の殺菌の安全性についてのことなので、鴨のような赤身については分からないのですが、同じ温度で長く低温調理をするとなにか変化があるのか実験してみることに。
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《材料》 スペイン産 マグレカナール(下処理前450g) 厚さ3cm(下処理後) 塩(ゲランドの塩)1% 黒胡椒 適量
《低温調理》 57℃ 3時間15分
低温調理後の鴨胸肉とお肉から出た肉汁の量など。
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出来上がり直後の断面。
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今度は5mm幅に切って、ツブツブお塩と黒胡椒。
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調理後すぐに冷凍庫に入れて凍らない程度に冷まし、更に冷蔵庫で中までしっかりと冷やした鴨ハムに柚子胡椒を。柚子胡椒と鴨って合いますねー。
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【メモ】
脂面を焼くときには弱火できっちり3分にしたので(プチプチなってから)、断面を見ても脂面から火はそれほど入っていないように見える。
1時間30分のものと比べると倍以上の時間の低温調理をしているので、肉汁がやや多く出た。ので、その分ジューシーさがない。ジューシーさがない分鴨のクセを強く感じるような気がする。
でも、それ以外は1時間30分と3時間15分とかなり時間の開きはあるものの、あまり変わらない。
切る厚さは5mmくらいが個人的には食べやすくて噛みごたえもあって(堅いわけではない)鴨食べてる感がしていいかも。
鴨胸肉の低温調理の今の所まとめ
ちょっと間違えるとすぐパサパサに火が入ってしまう鴨胸肉ですが、低温調理器を使えばロゼに火入れを入れることができます。
鴨の種類が違うので一概には言えないのですが、今の所、57℃で1時間半の低温調理で、後焼きが一番いい感じです。
この「低温調理で鴨胸肉を調理する』のページでも、バルバリー種、マグレカナール、シャラン鴨の3種のかもを使っていますが、低温調理の微妙な温度差、時間の差以上に鴨胸肉の肉質の方が大きく味に影響します。ので、お気に入りの鴨胸肉を探すのがまずは大事なのかもしれませんね。
ちなみに僕がおすすめするのは、この記事の中でも使っているシャラン鴨です。鴨肉の選び方も参考にしてみてください。
それにしても、テレビなどで見るフランス人が食べている鴨肉の火入れは、低温調理器で入れたものとはぜんぜん違う感じだなー。ほぼ生じゃね?(は言いすぎだけど)ってくらいものすごい血が滴っている気がする。。。
この鴨胸肉の低温調理には低温調理器BONIQ(ボニーク)を使っています。
ディスカッション
コメント一覧
通りすがりです、詳細な記事をありがとうございます!参考にします。
鴨肉お高かったので、すごく助かります!失敗したくない…
サナルさん、こんにちは。はじめまして〜
良かったですヽ(^。^)ノ
お高い鴨肉失敗したくないですよね〜
コメントありがとうございます。
初めまして。鴨の胸肉の調理に苦戦しているものです
赤い生っぽい肉は苦手なのですが中心温度を70℃付近まで加熱しても赤い汁がどうしても出てしまいます
(湯温75℃80℃で30分)休ませてもやはり出てしまうもので鶏肉だと問題なくできますが鴨の場合異なるのでしょうか
おうち料理さん、こんにちは。はじめまして。
艸のブログを参考にしてくださり、ありがとうございます。
>赤い生っぽい肉は苦手なのですが中心温度を70℃付近まで加熱しても赤い汁がどうしても出てしまいます
>(湯温75℃80℃で30分)休ませてもやはり出てしまうもので鶏肉だと問題なくできますが鴨の場合異なるのでしょうか
とのご質問ですが、ちょっとご質問の答えになるかどうか分からないのですが、僕なりの答えをさせていただきますね。
赤い汁が赤いのは、ミオグロビンというタンパク質の色で、熱を加えると赤から褐色になります。
ミオグロビンは、鶏は少なく豚にはやや入っていていて、鴨や牛など赤いお肉には多く入っています。
ですので、ミオグロビンが少ない鶏肉では赤い汁がでてきませんが、ミオグロビンを多く含む鴨肉や牛肉は、表面は褐色に変化しますが中の方は、変化せず、空気に触れると発色して赤くなります。
また、加熱しても褐色に変化しないミオグロビンもあるようですので、しっかり火が通っていたとしても赤い汁が出る場合もあるようです。
こちらにもうちょっと詳しく書いてあるので良かったら参考にしてみてください。。。
しっかり加熱調理したはずなのに、家で作ったハンバーグの肉が赤いのはなぜですか。肉に食品添加物が使われているのではないかと心配です。
「赤い肉汁が苦手」であれば、おうち料理さんの問題を全く解決しない回答で申し訳ないのですが。。。
コメントありがとうございました。